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定着面談で見落としがちなサインと対処法|早期離職を防ぐための定着支援の完全ガイド

  • 投稿カテゴリー:お役立ち情報

企業が新入社員や中途採用者を迎えるとき、多くの時間とコストをかけて採用・教育を行います。
しかし、その人材が早期に離職してしまうと、採用コストのみならず、教育コストや業務の引き継ぎ、組織の空洞化など、多大な損失を招きます。
近年、特に新卒者の“短期間での離職”が社会的な問題となっており、企業としては「定着支援」の重要性が高まっています。
そのため、多くの企業で「定着面談」が導入されていますが、形式的に行うだけでは、本来の目的である“離職の予防”にはつながりにくいことがあります。
面談の際に、社員の「離職の予兆」をきちんと見抜き、それに適切に対応できるかが、定着支援のカギです。

本記事では、定着面談で見落としがちな“離職のサイン”と、それに対する対処法など離職率改善のための実践的な定着支援の手法をご紹介します。

 

目次

1.定着面談とは? 役割と目的
2.面談で見落としがちなサイン
3.見落としサインの具体例とその背景
4.早期離職を防ぐための面談ステップと対処法
5.よくある疑問とその答え
6.まとめ

 

1.定着面談とは? 役割と目的


定着面談の定義
新しく入社した社員が職場に適応し、長期的に働けるように支援するための面談です。
多くの場合、入社後1か月、3か月、6か月など、一定のタイミングで実施されます。
面談では、単に業務の進捗確認をするだけでなく、職場環境、人間関係、不安や戸惑い
心理的なストレスや満足度なども含めて、社員の“今”を幅広く確認することが目的です。

定着面談がもたらす主な効果

早期離職の防止
離職の兆候や不満を早期に発見し、迅速に対応できる

✓ 心理的安全性の向上
定期的な対話を通じて、社員が「相談しやすい/話しやすい」環境を感じられ、安心感が生まれる

✓モチベーションの維持・向上
キャリア目標や悩みを聞くことで、本人のモチベーションに向き合うきっかけを作る

✓ 組織全体の生産性向上
社員が安心して働ける環境を整えることで、離職を防ぎ、安定した人材配置と組織力維持につながる。

 

2.面談で見落としがちなサイン


定着面談を行っていても、実務に追われる中で“サイン”を見逃してしまうことがあります。
以下は、特に見落としてしまいがちなパターンです。

✓ 曖昧な回答が続く
「特に問題はありません」「大丈夫です」といった漠然とした言葉が続く

✓ 感情の起伏が見られない
笑顔が少ない、反応が淡泊、声のトーンが一定など

✓キャリアに関する質問を避ける/将来について語らない
将来像やキャリアの話になると、会話をそらす、答えを濁す

✓ 自己評価の低い発言
「自分は役に立っていない気がする」「迷惑をかけてばかり」など、自信のなさを示す言葉。

こうした“控えめ”なサインは、一見「特に問題なし」と受け取られがちですが、
実は離職につながる危険信号である可能性があります。

 

3.見落としサインの具体例とその背景


面談で見落としがちなサインの具体例としてあげられるものは以下の4点になります。

✓ 業務について曖昧な返事が続く
背景:業務理解の不足、負荷の高さ、相談しづらさ
対処:具体的な質問(例:「最近大変だったことは?」)

✓ 人間関係の話題を避ける
背景:チームとの距離、相談相手の不在
対処:相談できる人の有無を確認し、交流機会を作る

✓ キャリアを語れない
背景:会社に長くいるイメージがない
対処:キャリアパスやロールモデルの提示

✓ 自信のなさを示す発言
背景:成功体験不足、承認不足
対処:小さな成果でも具体的に評価する

 

4.早期離職を防ぐための面談ステップと対処法


定着面談を実施する際におすすめのステップとポイントは以下になります。

1.雑談から始める
面談冒頭は業務とは関係ない軽い雑談から。
趣味、休みの日の過ごし方、最近の出来事など、“業務外の話題”で場を和ませることで、リラックスした状態を作る。

2. オープンな質問を使う
「はい/いいえ」だけで答えられる質問ではなく、「最近の仕事で嬉しかったことは?」「困っていることは?」など、自由に答えられる質問を心がける。

3. ポジティブなフィードバックを行う
小さな成果でも必ず認める。達成したこと、努力していること、成長したところを言語化して伝える。

4. 面談後のフォローを徹底する
面談内容を記録し、次回面談で前回の振り返りをする。
また、必要に応じて上司・先輩と共有し、サポート体制を整える。

5. 環境改善やコミュニケーション機会を設ける
面談だけで終わらせず、チームでの交流、1on1、メンター制度など、社員が相談しやすい仕組みを整備する。

 

5.よくある疑問とその答え


Q1. 若手の3年以内離職率”はどれぐらい高いのですか?

A. 直近では、厚生労働省 のデータで、2022年3月卒の新規大学卒就職者の
「就職後3年以内離職率」が 33.8% と報告されています。
つまりおよそ3人に1人が、若手のうちに退職している現実があります。
(参照:厚生労働省 「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します」)

 

Q2. 定着面談だけで離職を防げるのでしょうか?

A. 面談は非常に有効ですが、それだけでは不十分です。
面談をきっかけに“フォロー”“環境づくり”“コミュニケーション”などを継続的に行うことで、
初めて離職防止の効果が高まります。

 

Q3. 「面談時間がない/取れない」が理由で面談できない場合はどうすべきですか?

A. 長時間を確保するのが難しくても、定期的に「声かけ」をする習慣を設けることが大切です。
たとえば週1回の短い進捗確認、雑談だけの時間、先輩とのランチミーティングなど、
一言でもコミュニケーションをとる機会をつくることで、“様子見”のサインを見逃しにくくなります。

 

Q4. 中途採用者にも同じ手法は有効でしょうか?

A. 有効です。
ただし中途採用者は前職の経験や価値観、職場環境などバックグラウンドが新卒とは異なるため、
「入社前とのギャップ」「ミスマッチ確認」「キャリアのすり合わせ」を丁寧に行うことが重要です。

 

Q5. フォーマルな面談よりも“カジュアルな1on1”のほうがいいのですか?

A. 多くの場合、カジュアルな対話のほうが本音を引き出しやすく、離職のサインも見えやすくなります。
ただし、カジュアルといっても“目的と記録”は必要。形式を崩すがゆえに内容が曖昧にならないよう注意してください。

 

6.まとめ


定着面談は、単なる“チェック”の場ではなく、社員と企業の信頼関係を築き、組織としての安定と成長を支えるための大切な手段です。
離職を防ぐだけでなく、社員一人ひとりのキャリア形成やモチベーション維持につなげることで、会社全体の底力を高めることができます。

ただし大切なのは、「面談をやれば終わり」ではなく、その後のフォロー、環境づくり、コミュニケーションの継続です。
形式的な面談でも、人事担当だけが頑張るだけでは限界があります。
上司、先輩、メンター、チーム全体で「話せる・相談できる」文化を育てること。
そして、定期面談と継続的な支援を習慣化すること――それが、離職率を下げ、社員の定着率を高めるための本質です。

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