
採用活動の成果を「感覚」ではなく「数値」で把握する――その鍵となるのが採用KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標) です。
KPIを設定することで、採用プロセスを定量的に可視化し、課題発見から改善までのスピードを高めることができます。
本記事では、採用KPIの基本的な考え方から主要な指標、運用のポイント、そして成功事例までをわかりやすく解説します。
1.採用KPIとは?その定義と役割
採用KPIとは、採用活動の進捗や成果を定量的に測定するための指標です。
採用プロセス全体を“見える化”し、どの段階で課題があるのかを特定しやすくするための重要なツールとなります。
例えば、「応募者数」「内定承諾率」「入社後の定着率」などが採用KPIとして活用されることが一般的です。
採用KPIの役割
採用KPIが担う主な役割として、以下が挙げられます。
①目標達成に向けた進捗管理
各KPIをモニタリングすることで、採用活動が計画どおり進んでいるかどうかを確認できます。
②ボトルネックの特定
選考プロセスのどこで応募者が離脱しているか、どこに改善の余地があるかを数値から把握できます。
③採用活動の成果を定量化
成果を数値で示すことで、採用チームや経営陣に対して具体的な報告が可能になります。
2.採用活動における重要なKPIの種類と設定方法
採用KPIを設定する際には、採用プロセスの“入口”から“出口(成果)”まで、各段階に応じて指標を選ぶことがカギとなります。以下、3つのカテゴリに分けて解説します。
①応募者関連のKPI
応募者段階のKPIは、採用活動の入り口部分に焦点を当てます。
主なKPI例
・応募者数(一定期間内に獲得した応募者の総数)
・応募者の質(一定のスキルや経験を満たしている応募者の割合)
・応募経路別の応募者数(求人サイト、リファラル、SNSなど)
KPI設定のポイント:
採用したいターゲット人材像を明確にし、「質」と「量」のバランスを考えて設定することが重要です。
例えば、応募者数が多くても、必要とするスキル・経験を持たない人が多ければ効率は低くなります。
②選考プロセスのKPI
選考段階では、応募者がどのプロセスで離脱しているかなどを把握し、改善点を見つけます。
主なKPI例
・書類選考通過率(応募者数に対する書類通過者の割合)
・面接実施率(面接を実施した応募者数の割合)
・内定承諾率(内定を出した応募者のうち、承諾した人の割合)
KPI設定のポイント:
各選考ステップごとに指標を用意し、どこで離脱が起きているかを可視化します。
例えば、面接通過率が極端に低ければ、求人票と実際の求める人材像が乖離している可能性があります。
③採用後の成果に関するKPI
「採用して終わり」ではなく、採用した人材がどの程度活躍し、定着しているかも重要です。
主なKPI例
・入社後の定着率(入社1年後も在籍している社員の割合)
・入社後のパフォーマンス評価(採用した人材の業務成果や昇進率など)
・離職率(採用後の一定期間内で退職した社員の割合)
KPI設定のポイント:
採用活動が組織全体の目標にどの程度寄与しているかを数値化します。
例えば採用コストや採用人数だけでなく、「どれだけ長く活躍してくれるか」
「企業文化に馴染んでいるか」を測ることで、採用活動の質が問われます。
3.採用KPIの運用を成功させるためのポイント
採用KPIを設定するだけではなく、継続的に運用・改善することが成果につながります。以下のポイントを押さえておきましょう。
①定期的なデータモニタリング
KPIは一度設定したら終わりではなく、定期的にモニタリングして進捗を確認する必要があります。
②部門間での連携を強化
採用チームだけでなく、人事部門・現場部門・経営陣を巻き込んでKPIを共有することで、より効果的な採用活動が可能になります。
なお、企業がKPI達成に向けて抱えている主な課題としては、
最新調査で1位「母集団形成」、2位「選考ガイドラインの設定」、3位「採用ブランディング」が挙げられています。
これらはいずれも採用の“質”を高めるうえで欠かせない要素であり、特に「母集団形成」ではターゲット層へのアプローチ設計、
「選考ガイドライン」では評価基準の統一、「ブランディング」では候補者への企業イメージ浸透が重要です。
(参考:【採用活動におけるKPI調査】80%以上の企業は「内定数」を設定。KPI達成に向け企業が抱える課題と取り組みの調査結果を公開。)
③KPIの見直しと改善
採用市場の変化や企業の成長フェーズによって、適切なKPIは変化します。
定期的にKPIを見直し、必要に応じて修正・改訂を行いましょう。
特に、昨今は採用チャネルの多様化・候補者の価値観変化が激しいため、柔軟な対応が求められています。
④データドリブンな改善サイクルを回す
KPIを測定・可視化したら、仮説を立てて改善策を実行し、その結果を再度チェックするというPDCAサイクルを回すことが成功の鍵です。
数字が悪ければ「なぜ悪いのか」「どう改善するか」を関係者で議論し、次のアクションに活かしましょう。
⑤候補者体験(Candidate Experience)も視野に
採用KPIにおいて、応募者・候補者にとっての「体験」も求められています。
候補者視点を踏まえたプロセス設計・コミュニケーション改善も重要な運用ポイントです。
4.成功事例:KPI活用で成果を上げた企業
Q1. 応募者数はあるのに内定承諾につながりません。何を見直せば良いですか?
A. 選考プロセスごとの離脱率を確認し、特に面接段階のコミュニケーションや情報提供を見直すことが有効です。
候補者が不安やミスマッチを感じるポイントを改善すると、承諾率は上がりやすくなります。
Q2. 応募者数を増やすには、どのKPIを重視すべきですか?
A. 応募経路別の「応募者数・質・コスト」を比較し、効果の高いチャネルに集中することです。
ムダな媒体を減らし、応募者が集まりやすい導線を強化することで効率的に母集団を増やせます。
Q3. KPIを設定しても改善につながりません。何から始めればよいですか?
A. まず“どの段階で問題が起きているか”を数値で切り分け、課題のあるステップに限定して対策することです。
闇雲に全体を変えるのではなく、ボトルネックに絞ることで改善効果が出やすくなります。
Q4. 採用KPIはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
A. 半年〜1年に一度を目安に、採用市場や自社の状況に合わせて更新することをおすすめします。
事業フェーズや求職者ニーズが変わるため、KPIも柔軟に調整する必要があります。
Q5. データ分析が得意ではありませんが、KPI運用はできますか?
A. まずは「応募者数・面接通過率・内定承諾率」など基本指標から始めれば十分です。
シンプルなKPIでも改善ポイントは把握でき、慣れてきたら段階的に指標を増やせます。
5.まとめと今後のステップ
採用KPIを適切に設定・運用することは、採用活動の効率化と成果向上において不可欠です。
応募者関連のKPIから選考プロセスのKPI、さらには採用後の成果に関するKPIまで、各段階に応じて指標を分析し、データに基づいた改善を行っていきましょう。
貴社においても、定期的なデータのモニタリング・部門間の連携・PDCAサイクルの実践・候補者体験の重視を通じて、採用KPIを「使える武器」に変更していきましょう。
エスプールリンクでは、採用KPIの設定から運用支援まで、企業様の採用活動を成功に導くソリューションをご提供しております。
データ分析を活用した採用戦略の立案から実行まで、ぜひお気軽にご相談ください。
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